6 鵲の渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける


中納言家持
三十六歌仙の一人。官位は従三位・中納言(中納言家持)。

One of the Thirty-six Poetry Immortals. His official rank Jusanmi/Chunagon.


現代語訳
七夕の夜かささぎが連なって渡したという橋のように、宮中の階段におりる霜が白いのをみると、もう夜もふけてしまったのだなあと思う。

As the bridge that a series of magpies has built a bridge across in the night of Tanabata, when I look white frost falling on Stairs of the Imperial Court, I think it has been late at night.


文法・語
「かささぎの渡せる橋」-天の川。中国の七夕伝説では、織姫と彦星を七夕の日に逢わせるため、たくさんのかささぎが翼を連ねて橋を作ったといわれる
「おく」-おりる
「霜」-「月落ち烏鳴いて霜天に満つ」という唐詩(張継)が元になっていると言われ「天上に散らばる星」のたとえ
「ぞ」-「ける」の係結び
「ける-詠嘆の助動詞「けり」の連体形