42 契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは


清原元輔
歌人・官人。娘が清少納言。三十六歌仙。従五位上肥後守。

現代語訳
かたく約束を交わしましたね、互いに絞れる程に涙で袖を濡らして。末の松山を波が越えることが絶対にないのと同じように、決して心変わりをしないと。

文法・語
「契り」-ラ行四段活用動詞「契る」の連用形で、主に「(恋の)約束をする」という意味
「き」-体験的回想を表す過去の助動詞「き」の終止形
「な」-感動を表す終助詞
「かたみに」-副詞で「お互いに」という意
「袖をしぼる」-「泣き濡れる」という意味。平安時代の歌によく使われる表現
「つつ」-繰り返しを表す接続詞
「じ」-打消しの推量・意志を表す助動詞
「と」-引用の格助詞
※初句切れ・倒置法(「かたみ~とは」までが「契りきな」に続く)
※『後拾遺集』よると、この歌は女に振られた男に代わって元輔が詠んだ歌であり、元輔本人の体験ではない

末の松山 MAP
現在の宮城県多賀城市周辺